2015年8月25日火曜日

「悪くないカード」の基準

あれだけさんざんディスってた「硬化した鱗」が結果を出しちゃいました。

これはアレやね。評価すべき点があったんだろうね。


まぁつまる所、アレの勝因は「相方を見つけた」ただ1点であって。
相方はゴミ揃いの長久でもパッとしない鼓舞でもなく、搭載歩行機械でした。
後ドライアドのちょっと強い版ハイドラもナイスカードだったね、って感じ。

じゃあ「硬化した鱗」が手放しで搭載できるグッドカードかと言われたら、それはNOだ。
全ては相方次第になる。シナジーを考慮した上で最良の選択肢を取ることが何より重要だ。

CIP生物を考えなしに投入した中に双子をぶち込んでもラッキーパンチのあるカジュアルデッキにしかならないのとだいたい同じ。


やっぱり重要なのは「試行」なんだと思う。
今までゴミだからこれからもゴミに違いない、じゃなくて全ては環境次第って事なんだろう。

だから今回の「鱗」デッキに関しては、
「マスターピースが二枚も来るなんて知らねーよ」という一点に尽きる。
第一アイツらが来るまでカジュアル御用達クソカードだったことは事実なんだもん。僕は悪くない。


・・・って事は「現状相方がgmkzしかいない」カードが今後化けるのでは?
ちょっと探してみたよ。
だいぶ前向きにコメントもしてみたよ。ほんとだよ。


・突撃陣形
「鱗」がクソカードの烙印を返上した今クソオブクソの名を独占しつつあるクソ。
だが待って欲しい。もしかしたらコイツが輝く場面があるかもしれない!
ケツのデカい強カードといえばクルフィックスの狩猟者。
後は女人像、ロック鳥、・・・サイ。除去を入れた方が強いな!
2/3以上の確率で3Tまでに引いて置ける確信があるなら特化することに意味があるだろう。
貴方が麻雀漫画の主人公ばりの強運の持ち主なら一考に値するかもね。

・炎影の妖術
最近割りと恒例になりつつある「1ターン限りのコピー」シリーズ。
その中でも「CIP誘発」「マナ必須」「全体エンチャント」と小回りも再利用性もかなぐり捨てた思い切りの良さが特徴。
比較するべきは双子でもミミックバットでもなく妖術師の衣装部屋だ。
衣装部屋は後置きが許容できたがコイツは先置きするしかない。しかもマナを食う。
某白タイタンみたくリソースの循環が容易になればもしかすれば陽の目を浴びるかもしれない。
そこまで行けば除去の方が強いとか言われそうだ。またこのパターンか。

・進化の飛躍
・・・そりゃ搭載歩行機械と組み合わせれば強いさ!
そのまま育てつつ除去を誘った方が強い事を除けばな!
CIP持ちで固めつつマナがダダ余る状況なら強いカードになる目はある。
しかしそれは「だいぶ勝ってる盤面」を「ド圧勝」に変えるだけで、それ以外じゃ役に立ちそうにない。
拮抗してる盤面でカード1枚を使って出す価値があるカードじゃないだろう。少なくとも今の所はね。

・一日のやり直し
モダン以下だと結果を出してるかもしれないけど、ここはスタンの話だけをするね。
スタンだと手札が枯れてる頃には相手の手札も枯れてて、リソース献上からの負けパターンが濃厚。
ターボフォグみたいな感じに組めばワンチャンありそうだけど、キルターンが長すぎると勝ちそうな盤面でもうっかり死にそうだ。
・・・バーン?スタンで1ターン捨てながら相手に手札を献上しても問題ない世界にお住まいなら一考に値するのでは?

2015年7月30日木曜日

クソの束と思考実験

僕はしばしばクソデッキを挙げて構築についてを考える。
それは良いものを知るためにその逆である「悪いもの」とは何かを定義するためであり、更には自分がそうなってしまわないための論理武装のためでもある。
自分の答えが正しくなかった時に、「何故勝てないのか」を考えるのは重要な事だと思う。
「これはクソだ」と思っていても、一ヶ月後くらいに同じことをしていたりする。
この記事は僕も度々陥る「勝てないアイデア」を咎めるためのものである。たぶん。


というわけで今日のうんこ。

4:《マグマの洞察力/Magmatic Insight》
2:《苦しめる声/Tormenting Voice》
4:《一日のやり直し/Day's Undoing》
4:《溶鉄の渦/Molten Vortex》
12:《島/Island》
30:《山/Mountain》
4:《シヴの浅瀬/Shivan Reef》


見て分かるゴミの束である。
これが人気なのは「ヤバいものを突付きたがる」群集心理のせいだと思う。思いたい。そうだよね?

ところで何故これがダメか。
「どう見てもヤバい」とかじゃなくて、論理的に追求してみよう。
デッキの内容に違いはあれど、もしかしたら同じことをしようとしている「クソの束」はいっぱいあるかもしれないから。ていうか絶対その辺に転がってると思う。


というわけでサンプル。

40 《ショック/Shock》
20 《山/Mountain》

勝ち方は言うまでもなく、「本体にショックを10発撃つ」である。
「溶鉄の渦」が「土地をショックに変える」カードなので、これをベースに考えてみよう。
これだけ言えば単純だけど、ちょっとした計算をすればこのプランが破綻してることに気づくと思う。

勝つための方法はショック10発だが、このデッキの勝利条件は「10発のショックまでに自分が死んでいない」なのだ。
分かりやすくするために先手がショックを10発撃つまでの流れを考えてみよう。

土地1でショックを毎ターン一発づつ撃つ->10ターン(消費枚数11枚)
土地2でショックを1発->2発->2発・・・と撃つ->6ターン(消費枚数12枚)
土地3でショックを1発->2発->3発・・・と撃つ->7ターン(消費枚数13枚)

土地3パターンでキルターンが伸びた。
1t目に1発、2t目に2発、3t目に3発と動くと消費するカードの枚数は9枚。
先手ならこの時点で手札が無くなっている。後は引いてきたものを1発づつ撃つしかない。
しかもこの計算は完璧に動けることが前提なので、

土地2でショックを1発->2発・・・と撃ったけど途中で土地を2枚引いた->?ターン

みたいな自体が頻繁に発生するだろう。期待値の大した事なさに加えてブレが大きすぎる。
更に言うとこの戦略は「普通に組まれたデッキ」の動きを全く想定していない。

例えば、

40 《灰色熊/Grizzly Bears》
20 《森/Forest》

みたいなデッキが、2t熊、3t熊、4t熊、5t熊と動いた時のダメージ量を見てみる。

0->0(熊召喚)->2(熊召喚)->4(熊召喚)->6(熊召喚)->8(死亡)

6t目に無事死亡した。キルターンこそ同じだが消費するカードは6枚である。ショック殺法の半分だね。
ということは余剰のカードを「更に高速で相手を殺す」ことに使えるのだ。
例えば呪文が「熊、熊、熊、マナエルフ」だったら。

0(エルフ)->1(エルフ攻撃、熊)->2(熊攻撃、エルフのマナで熊が2体)->7(全員攻撃)->7(全員攻撃)

5tで19点だ。4tと5tはマナに余剰があるので19を20にする方法はいくらでもある。消費枚数も7枚なので手札にも余裕がある。
対してショック殺法はマナも手札もカツカツだ。しかも常にベストな動きをしてやっと熊4体と同じ働きだ。
更に言えば世間に存在する大抵のデッキのクリーチャーは熊より強い。
1マナクリーチャーが出てきたとか、3/3が出てきたとか、速攻持ちが出てきたとか、回復されたとかされるともう終わりだ。

つまりショック殺法は勝てない。
そこから更に手札とマナを消費する「溶鉄の渦」デッキが勝てるわけがないのだ。以上証明完了。


加えて言ってしまえば上の熊殺法も相手に3/3が1体居るだけであっさり瓦解する。
上の熊デッキ+αもクソの束なのだ。
マジックの「リミテッドの」デッキ構築はそこから更に軍拡競争が続き、基本的には睨み合いの末どちらかが押し負ける。

もちろん構築戦はそれよりも過激なメタの循環があり、それぞれが勝ち筋を押し付けあう。
これが起こらないのは余程のお花畑かアブザン長久のミラーマッチくらいだろう。

ここで気をつけたいのは、自分のデッキがショック殺法になっていないかだ。
もしくは熊殺法や、それと同レベルの争いをしていないかだ。

高速デッキを作るとして、一枚あたりのダメージ期待値が3を下回ったらそれはショック殺法とだいたい同じだ。
アグロデッキを作るとして、熊並みのクリーチャーしか居なかったらそれはまさしく熊殺法だ。
コントロールデッキを作るとして、熊が並ぶデッキといい勝負をしていたらコントロールとは言えないだろう。
コンボデッキを作るとして、あれこれ考えた結果がショック10枚と変わりない戦果だったらそれはただのオナニーだ。

もちろん本来考えるべき仮想敵はこんな低レベルな連中じゃなくて、本来は

ウィニーデッキや高速アグロの早さに打ち勝つには何をするのか?とか、
コントロールに勝つための十分な早さを確保するためには?とか、
ミッドレンジが流行っている環境でそれに勝つには早いデッキ?それとも遅いデッキ?とか、
強いコンボが流行っているけど、自分のデッキで可能な対策はどれか?とか、
何か凄いデッキが完成しそうなので仮想敵とガンガンスパーして完成度を上げよう!とか、

後はメタがぐるぐるしてみんなが勝つためにあれこれ考える。ドンピシャな解答か今日の人が勝つ。
つまりゲームを成立させるためには大なり小なり相手のことを考えなきゃいけない。
もちろん対応するだけじゃなくて、「相手に勝てるか」を考えなければ成立しない。

こうならないためにもデッキはしっかり考えよう。片足突っ込んだらデッキ解体の日。

2015年4月23日木曜日

まじっく禁止カードあれこれ

※ここで挙げているカードはぶっ壊れカードではありません。
大まじめに投入してるカジュアルプレイヤーの皆様は悔い改めつつデッキから抜きましょう

概要:
あなたのその独創的なアイデアはもう見飽きました
お外にはもっと強くて強いカードがあるのでもっと勉強しましょう。


・黒猫
その万人受けするビジュアルと名前(と半端に使えそうで使えない性能)から数多くのカジュアル黒単に愛されてきたPIG能力持ち。
ブルジュハリファばりに高いCIPとPIGの差に気付かずにアドパンテージが取れると思い込んだアレな人たちが主に生命散らしのゾンビの代わりに投入した
現実世界での主な役目は終盤に泣く泣くチャンプブロックしてダブついてる除去か土地を叩き落とす程度。従者より少しだけマシ。

・覚悟+意欲
ISD+RTRスタン期に予想通り大量発生した「スリヴァーデッキ」での採用率が何故か高かった一枚。
その他緑白系のカジュアルデッキがマナ編みスリヴァーの色マナを頼りに投入していた。
恐らく投入した人たちはマグロデッキが7ターン目に命があると思ったマナクリに除去が飛んでこないと思ったに違いない。

・魔心のキマイラ
クロックパーミッション、カウンターバーン、青赤コントロール・・・・・・
何故か初心者の心をつかんで離さないアーキタイプ、ゆえにコイツも何故か初心者の心鷲掴み。
当時でもチャンフェニの方が安定したしドラゴンの方が殺傷力が高い。
中々学習しない初心者に弱いカードを使うデッキは弱いことを教えるために存在するカード。
もしくは3T目にバカ正直に唯一の勝ち筋を出すとすぐ除去られて破綻することを教える系カード。

・怒血のシャーマン(と一部を除くボンクラ牛人間ども)
結果を出した訳でもないのに何故かどれも40~50枚位一致する不思議なデッキ、それがミノタウロス部族デッキ。
せめてマトモな速攻持ちか二匹目の1マナ域が居れば話が変わったかもしれないが現実は非情である。
無意味に部族で固めるより素直に強いカード使って赤単組んだ方が早いことを初心者に教えるのが主な役目。

・硬化した鱗
カウンターが追加で乗る、と書けば強そうに見えるが実態は回りくどくて弱い十字軍
大抵はリミテ用アンコモン長久ロードと共に「長久デッキ」という謎の頻出アーキタイプに用いられる。
初心者特有の「統一したい病」を助長するタルキール代表クソカードその1。
弱いコンセプトは弱いことを根気強く初心者に教えるのが役目。

・英雄の刃
最近はレジェンドが多いためか、結構な頻度で使われているのを見る。
何が初心者の琴線に触れたか良く分からないけど、マナとカードを消費して限定的な対象を強化したところでだから何だとなるのが関の山。
大抵は弱いカードを中心にデッキを組んではいけないことを初心者に教えるカード。

・突撃陣形
件の「統一したい病」を発症させるDTKのニューカマー。
ドランの再来、と書けば強そうに見えるがそもそもドランデッキに0/4フレンチバニラみたいなカードは皆無。
て言うかドランの主力はドランがなくても強いカードが9割9分である。
5回やって1回しか勝てないデッキを組んではいけないことは自明だが中々伝わらないのが悩み。


番外編:別に弱い訳じゃないけど見飽きた系カード

・破壊的な逸脱者
いや、このカード自体は実際弱い。
問題はこのカードを樫の力として運用するデッキが結果を残しちゃったことであって。
僕も使ってみたがそこまで悪くなかった。・・・と思う。
しかしライブラリアウトで使う逸脱者は死ぬほど弱い。つーかライブラリアウトが滅茶苦茶弱い

・刃の隊長(と戦士プチロード各種)
カード単体では悪くない。レシオも普通に見える。
しかしこれを寄せ集めて戦士デッキにするととたんにゴミの束に変化するのが不思議。
現実世界の戦士デッキはFNMで勝てる程度には組めているらしいので、いつか答えが見つかるかも。
でもバカ正直に統一を図るのは見え透いた罠です。気をつけましょう。


ケツ言:
これらはある意味「初心者であるがゆえの(もしくは経験不足であるがゆえの)過ち」である場合が殆どです。
あなたがもし成長を願うプレイヤーであるならば、自省をして更なるデッキ構築の沼にドはまりしていただけると思います。
その先にはもっと楽しい世界があることでしょう。頑張って下さい。

もしあなたが筋金入りのカジュアルで、現状に満足しているのならば、諦めましょう。
カードを正当に評価しましょう。でなければ一生歩く1byeです。たまには大会に出ようね。